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後鼻漏

鼻水が喉に落ちる・痰がからむ・咳が続く

「鼻水が喉の奥へ流れてくる」
「いつも痰がからんでいる感じがする」
「何度も咳払いをしてしまう」
「朝起きると痰や咳がひどい」
といった症状はありませんか。

このように、鼻や副鼻腔から出た分泌物が
鼻の奥から喉へ流れることを
**後鼻漏(こうびろう)**
といいます。
鼻水は健康な方でも鼻の中で作られ、
その一部は自然に喉へ流れて飲み込まれています。
普段はほとんど意識しません。
しかし、鼻水の量が増えたり、
粘り気が強くなったりすると、
喉に流れる感覚が強くなり、
後鼻漏として自覚するようになります。
後鼻漏は病名というよりも「症状」です。
その背景には
副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻炎、風邪など
さまざまな病気が隠れているため、
症状だけを抑えるのではなく
原因を調べることが大切です。

このような症状はありませんか?

* 鼻水が喉の奥へ流れてくる
* 喉に鼻水が張り付いている感じがする
* 痰がからんでいるように感じる
* 何度も咳払いをしてしまう
* 朝起きたときに痰や咳が多い
* 横になると鼻水が喉へ流れる感じがする
* 夜や寝る前に咳が出る
* 喉がイガイガする
* 声がかすれることがある
* 鼻をかんでも鼻水があまり出ない
* 黄色や緑色の鼻水が喉へ落ちる
* 鼻づまりや嗅覚低下もある
* 鼻や口のにおいが気になる
このような症状が続いている場合、
後鼻漏が関係している可能性があります。

特に
「鼻水はあまり出ないのに痰がからむ」
「咳止めを飲んでも咳が続く」
という方では、
鼻や副鼻腔の状態を確認することが重要です。

後鼻漏とは?

鼻の中や副鼻腔の粘膜では、

粘液が常に作られています。

この粘液には

鼻の中を乾燥から守ったり、

吸い込んだほこりや異物を

捕まえたりする役割があります。

粘液が鼻の奥から喉へ少しずつ運ばれていても、

ほとんど気になりません。

ところが、

鼻や副鼻腔に炎症が起こり、

鼻水の量が増える


鼻水が粘り気を帯びる


膿のような鼻水になる

などの変化が起こると、

鼻水が喉へ流れていることを強く感じるようになります。

これが病的な後鼻漏です。

後鼻漏の主な原因

後鼻漏で特に重要なのが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎になると、
副鼻腔の中で粘り気のある鼻水や
膿性の鼻水が作られます。
鼻の前から出てくるだけでなく、
鼻の奥から喉へ流れることがあります。
黄色や緑色の鼻水、鼻づまり、
頬や目の周囲の重さ・痛み、頭重感、
嗅覚低下などを伴う場合には副鼻腔炎が疑われます。
副鼻腔炎では、後鼻漏によって喉が刺激され、
痰や咳が続くこともあります。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔の炎症が長期間続くと、
粘り気のある鼻水、鼻づまり、嗅覚低下、
後鼻漏などが慢性的に続くことがあります。
以前は「蓄膿症」と呼ばれることも多かった病気です。

好酸球性副鼻腔炎

鼻茸を伴う強い鼻づまりや嗅覚障害があり、
副鼻腔炎を繰り返す場合には、
好酸球性副鼻腔炎など
通常とは異なるタイプの副鼻腔炎が
隠れていることもあります。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でも
後鼻漏は好酸球性鼻副鼻腔炎でみられる
症状の一つとして紹介されています。

アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎では、

透明でさらさらした鼻水、くしゃみ、鼻づまり

などがみられます。

鼻水が多くなると、

その一部が鼻の奥から喉へ流れて

後鼻漏になることがあります。

春のスギ・ヒノキ花粉だけでなく、

ダニやハウスダストなどによる

通年性アレルギー性鼻炎でも起こります。

風邪・急性鼻炎

風邪をひいたときにも鼻水の量が増え、

後鼻漏が起こることがあります。

風邪そのものが改善したあとも鼻水や鼻づまり、

痰がらみの咳だけが続く場合には、

副鼻腔炎へ移行していないか確認することも大切です

アレルギーではない鼻炎

気温差、冷たい空気、においなどの刺激によって

鼻水が増えるタイプの鼻炎があります。

アレルギー検査では原因が見つからなくても

鼻水や鼻づまりが続き、後鼻漏を感じることがあります。

上咽頭の炎症

鼻の一番奥と喉の境界付近を上咽頭と呼びます。

この部分に炎症があると、

鼻水が流れているような感覚や、

粘液が張り付いているような違和感を感じることがあります。

ただし、

「後鼻漏を感じる=必ず上咽頭炎」

というわけではありません。

まず鼻炎や副鼻腔炎などを含めて

鼻・喉全体を評価することが重要です。

乾燥や加齢による変化

鼻や喉が乾燥すると

分泌物の水分が少なくなり、粘り気が強くなるため、

鼻水が喉に張り付いているように感じることがあります。

特に空気が乾燥する季節や

エアコンを長時間使用する環境では

症状が強くなることがあります。

「後鼻漏感」の場合もあります

「確かに何かが喉へ流れてくる感じがするのに、
診察では鼻水がほとんど確認できない」
という方もいます。
これを後鼻漏感と呼ぶことがあります。
喉の違和感は、鼻や副鼻腔だけでなく、
咽喉頭の炎症、胃酸の逆流、喉頭の過敏性
などでも起こることがあります。
したがって
「喉に何か張り付く感じ=すべて後鼻漏」
と考えるのではなく、症状が続く場合には原因を整理することが重要です。

後鼻漏で咳や痰が出るのはなぜ?

後鼻漏の患者さんから非常によく聞くのが、
「痰がずっとからみます」

「咳止めを飲んでも治りません」

「朝になると咳が出ます」
という訴えです。

鼻や副鼻腔から流れてきた分泌物が喉を刺激すると、
咳払いをしたくなったり、
痰がからんでいるように感じたりすることがあります。
また、
寝ている間は鼻の奥から喉へ流れた分泌物がたまりやすいため、
寝る前・夜間・起床時に咳や痰が気になる方もいます。
日本呼吸器学会の「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025」でも、
咳の原因疾患の一つとして
後鼻漏症候群(PNDS)による咳嗽が取り上げられています。
ただし、咳が続く原因は後鼻漏だけではありません。
咳喘息、気管支喘息、感染後咳嗽、胃食道逆流症などでも
咳が続くことがあります。
そのため、
鼻の治療をしても咳が改善しない場合や、
息苦しさ・喘鳴・血痰などを伴う場合には、
呼吸器内科など他科での評価が必要になることがあります。

鼻うがいは後鼻漏に有効?

鼻うがいは、
鼻腔内にたまった鼻水、花粉、ほこり
などを洗い流す方法です。

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などに伴う後鼻漏では、
補助的なセルフケアとして役立つことがあります。
ただし、鼻うがいだけですべての後鼻漏が
治るわけではありません。

市販の鼻洗浄液などを使用し、
適切な濃度・方法で行うことが重要です。
症状が強い場合や繰り返す場合には、
鼻うがいだけで様子を見続けず
耳鼻咽喉科を受診してください。

子どもの後鼻漏

子どもでも
風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎
などによって後鼻漏が起こります。

小さなお子さんは鼻水を上手にかめないため、
鼻水が喉へ流れやすく、
「夜になると咳が出る」

「朝に痰がらみの咳をする」

「鼻をすすっている」

「口呼吸をしている」
といった症状で気付くこともあります。
咳が続く場合には鼻だけが原因とは限らないため、
症状をみながら必要に応じて小児科などとの連携も考えます。

よくある質問

Q.鼻水が出ていなくても後鼻漏はありますか?
あります。
鼻水が鼻の前に出ず、主に鼻の奥から喉へ流れている場合には、
「鼻水は出ないのに喉に痰がからむ」
と感じることがあります。

Q.痰がからむのですが、後鼻漏でしょうか?
可能性はありますが、
痰がからむ原因がすべて後鼻漏とは限りません。
副鼻腔炎などの鼻の病気のほか、
気管支や肺の病気、咳喘息、胃食道逆流症などでも
似た症状が起こります。

Q.後鼻漏で咳が出ることはありますか?
あります。
鼻や副鼻腔から流れてきた分泌物が喉を刺激し、
咳や咳払いにつながることがあります。
日本呼吸器学会の2025年版ガイドラインでも
後鼻漏症候群による咳嗽が扱われています。

Q.朝だけ痰や咳がひどいのは後鼻漏ですか?

寝ている間に鼻の奥から喉へ流れた分泌物がたまり、

起床時に咳や痰として自覚することがあります。

ただし、他の原因による咳もあるため

長引く場合には診察が必要です。

Q.黄色い後鼻漏は副鼻腔炎ですか?

副鼻腔炎で黄色や緑色の

鼻水がみられることはあります。

ただし、色だけで診断することはできません。

鼻づまり、顔面痛、嗅覚低下、

症状の期間なども合わせて判断します。

Q.後鼻漏は自然に治りますか?

風邪などに伴う一時的なものであれば

改善することがあります。

一方、

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが

原因の場合には、

原因に対する治療が必要になることがあります。

Q.後鼻漏は耳鼻科で診てもらえますか?

はい。

耳鼻咽喉科では鼻から鼻の奥、喉までを診察し、

後鼻漏の背景に副鼻腔炎や鼻炎などがないか確認します。

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